「ブルーマウンテン」が販売休止・・・?

超高級コーヒーで、これ以上高価なコーヒーがありません。それだけで思いつくのが「ブルーマウンテン」の名前です。

2014年9月、UCC上島珈琲がブルーマウンテンの販売休止を決定したというニュースが報道されました。在庫終了次第、販売休止です。

「そんな超高級コーヒー、飲んだことないから関係ないわ」という方にも、「いつもブルマンしか飲まないから困った」という方にも、なかなかショッキングなニュースです。

コーヒーは日本のどこでも見かける、すっかりおなじみの飲み物となりました。コーヒーが店頭にない日本が想像つかないほど、町の風景はコーヒーの姿であふれています。

ですが、コーヒーが一般家庭でも安価で手軽に飲めるほど流行したのは、比較的最近のこと。

コーヒーの木は「コーヒーベルト」と呼ばれる、赤道を囲む地域でしか生産できない農産物なので、見かけるコーヒーのほぼすべてが、赤道付近から長距離を旅してきた輸入品なのです。

その上、ブルーマウンテンの生産地はさらに限られます。世界にただ一ヶ所しかありません。

ブルーマウンテンという名前の山は、世界中にたくさんあり、そこで生産されるコーヒーを一緒くたにブルーマウンテンと呼んでしまうこともあります。

ですが本来、ブルーマウンテンの名は「ジャマイカ共和国のブルーマウンテン」で生産されているコーヒーのことだけを言うのです。

ジャマイカのブルーマウンテンは標高1,200メートル。標高の高い山岳地域ならではの過酷な環境が、香り高く繊細、極上の品質を生み出します。収穫量が少なく、デリケートな品質を失わないよう、丁寧に手作業で生産されていることも、コーヒーの希少価値を高めています。

UCC上島珈琲は、1981年にジャマイカのブルーマウンテンエリアに「UCCブルーマウンテンコーヒー直営農園」を開設しました。

以来30年以上、コーヒーの安定供給に取り組んできたのですが、2014年9月上旬、仕入れ値の高騰を理由に、家庭用のブルーマウンテンを値上げ。9月中旬には収穫されたブルーマウンテンの品質が全体的に低下していることから、「品質の維持や安定供給がむずかしい」と判断。業務用も含めての販売休止となりました。

ブルーマウンテンの販売休止の原因は、複数あります。

まずは2012年10月、ハリケーン「サンディ」がジャマイカやアメリカを通過しました。このとき、コーヒーの木が倒れてしまうなど、コーヒー農園が多くの被害を受けたのです。

さらに2013年、コーヒーの木の病気が流行してしまいます。植物の病気で「さび病」というものがあり、伝染力が強く、植物の葉が光合成できなくなるため、数年で木が枯れてしまいます。

同じ年、コーヒーの木や実を好む虫(コーヒーベリーボーラー)の被害も発生してしまいました。

UCC上島珈琲によると、「2014年度のブルーマウンテンの生産量は前年に比べて半減する見通し」としていますが、今後ずっと、ブルーマウンテンが生産できないというわけではありません。

倒れてしまったコーヒーの木は、被害状況にもよりますが、多少収穫できることがあります。早ければ2015年の春ごろから、販売が再開される可能性もあるとのこと。

また、コーヒーの木は、幼木を植えるなどして、新しく育て始めてからでも、数年で生豆が収穫できるようになるそうです。

販売の再開が決定したら、このニュースでブルーマウンテンの名前を思い出した人たちが、「たまには高いコーヒーも飲んでみようかな」と、お店にたくさん集まってくることでしょう。美味しいですよ。

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