「世界で最初にコーヒーを飲んだ人」の伝説とその秘密

世界中で好まれる飲料として2分されるのはやはりお茶とコーヒーではないでしょうか?お茶のほうは中国が原産であることが分かっていますが、ではコーヒーは?

実は「世界で一番最初にコーヒーを飲んだ人」についてこんな伝説が残されています。

アフリカ大陸東部にあるアビシニア、現在のエチオピアでのことです。9世紀ごろにカルディというヤギ飼いの牧童がいました。森に放牧されていたカルディのヤギは、その地に自生している赤い木の実をよく食べていましたが、カルディは木の実を食べたヤギがやたら興奮することに気づきます。

カルディ君は不思議に思い、村の修道士様にこのことを相談しました。修道士はカルディに森まで案内させ、ヤギが食べていた実を持ちかえって、その実を茹でたスープを飲んでみたところ目はぱっちり気分爽快!そこで修道士は、夜の儀式のときに居眠りをしてしまう修行中の若い修道士にそれを飲ませたところ、彼らは居眠りしなくなったとのこと。

その赤い木の実こそコーヒーだったというのです。エチオピアはコーヒー豆の主流であるアラビカ種の原産地といわれています。また、4世紀ごろにはキリスト教の一派が布教をしていました。実際、エチオピアではコーヒーの実そのものを煮て食べる文化があったようです。

世界に広まったコーヒーには様々な淹れ方があります。

まずコーヒーを好むようになったのはムスリムたちです。オスマン帝国の領土だったイエメンのコーヒーが、当時の首都イスタンブールに運ばれ、皇帝に献上されました。そこで生まれたのが現在主に「トルココーヒー」と呼ばれる淹れ方です。

まず炒ったコーヒー豆をごく細かくひいて、小さな鍋に水ともに入れ煮立てます。それをそのままカップに移し、粉が沈殿するのを待って飲むというシンプルな淹れ方です。現在でもトルコを中心にムスリムの間で親しまれています。また、イスラム文化圏ではありませんがトルコにほど近いギリシャにもこの淹れ方が伝わっています。

この方式で淹れると、飲んだあとのカップにはコーヒーの粉が残ります。残された粉が様々な模様を描くことから、やがて「コーヒー占い」というものまでうまれました。

イスラムつながりということで言うと、インドネシアにはトルコ式をさらに簡単にした淹れ方があります。トルココーヒーと同様に、ごく細挽きにした粉をカップに入れ、お湯を注いでかきまぜて粉が沈殿してから飲むというものです。

ヨーロッパでコーヒーといえばなんといってもイタリア。とっても濃く抽出したエスプレッソを少量、そこにたっぷり砂糖を入れて流し込んでから仕事に行くというのはイタリアっ子の定番のようです。また、イタリアではコース料理の締めもまたエスプレッソです。

アメリカのコーヒーというと長い間浅煎り豆の薄めのものが好まれて来ましたが、スターバックスを代表とする「シアトル系」と呼ばれるカフェが、イタリアのエスプレッソ文化をアメリカに持ち込んで以降はコクのある濃いコーヒーが広まっています。そのようなカフェはコミュニティの場所としても機能しており、コーヒーを飲まないという人でもカフェには行くということがあります。

コーヒー豆の産地として知られる南米・グアテマラには、温めた牛乳にちょっと濃い目のコーヒーと砂糖を加えて作る「カフェ・コン・レチェ」というものがあります。これはもともとはスペインから伝わったものですが、スペインのカフェ・コン・レチェは、単にエスプレッソに牛乳を注ぐというもの。名前は同じでも、時代を経ることで微妙な変化が生まれたのですね。

グアテマラでは、コーヒーを淹れるのが面倒なときは温めた牛乳にインスタントコーヒーを混ぜるという作り方をする人もいるようです。

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