喫茶店などで見かけるオールドビーンズとは何?
「オールドビーンズ」は「オールドクロップ」とも言い、エイジングした生豆で作ったコーヒー豆です。エイジングと言われても、ピンと来ないかもしれませんが、よく果物や野菜などで保存や熟成などを兼ねて、一定期間寝かせることがありますが、それと同じです。
つまり、オールドビーンズは3年以上熟成された生豆で作ったコーヒー豆であり、オールドとあるものの、鮮度には問題ありません。
そして、何故エイジングという工程が必要になったのかと言えば、コーヒー豆は当年収穫の豆のことを、ニュークロップと言うのですが、昔、日本はそのニュークロップマーケットから外されており、一年経過した前年の豆パーストクロップや、それこそオールドビーンズで間に合っていました。
しかし、消費量が増えた現在の日本はニュークロップマーケットに組み込まれ、ベルジという緑色の濃い生豆が混ざり、エイジングという工程が必要になってきたのです。
では、何故ベルジが混ざっているといけないのかという話になります。
ベルジは他の成熟した豆と豆の中の水分量が違うので、混じった状態で焙煎をしてしまうと、ベルジの水分が抜け切らずに、「芯残り」してしまいます。「芯残り」とは豆の中が生で残ってしまい、その豆でコーヒーをいれても味や香りが出ず、えぐみのある美味しくないコーヒーが出来上がってしまいます。
そういうことにならないように3年以上かけてエイジングさせ、生豆の水分量を均一化するのです。
しかし、そのエイジングをするときに気をつけなければならないこともあります。
倉庫などに積み上げる場合、上段と下段では下段の袋の方が水分量が多くなるので、時々位置の入れ替えが必要になります。そして、入れ替え作業の際にはフライアッシュと呼ばれる、目には見えない微塵が発生し、これを常に吸っていると作業者の肺に問題が生じることがあるので注意が必要。
そういう手間をかけなければ、美味しいオールドビーンズが出来ないことを思えば、一杯のコーヒーにも特別な存在を感じるものです。