生豆の段階でエイジング(熟成)するとおいしくなるの?
正しい技術で焙煎された、当年もののニュークロップと熟成されたオールドクロップを比較してみても、熟成された方が味や香りが優れているということはありません。
『コーヒー小辞典』(柴田書店)のエイジングページには、とても具体的な方法が記述されています。このエイジング方法は、すべてのコーヒー豆に通用するのか、エイジングがなぜ必要とされたのかを考えてみましょう。
コーヒー農園では、輸出用とは別に自宅で飲めるように豆を保管していますが、コーヒー豆は換金作物のため、高級品はすべて輸出用で、自宅で飲むのは輸出規格に満たなかったコーヒー豆になります。
水洗式を導入している農園では、おもに未熟なコーヒー豆が自宅で飲まれています。未熟な豆は非常に渋くてそのままでは飲めないため、半年から一年ほどおいて飲める味になってから飲んでいるそうです。
コーヒー豆は、バナナやキウイのように、追熟させておいしくするわけではなく、エイジングすることで、なんとか飲める味にするために行われていると思われます。
最初に記載した通り、熟成された方が味や香りが優れているわけではないという結果からも、生豆をエイジングするとおいしくなるわけではありません。
エイジングは、あくまでも未熟な豆を飲めるような味にするための手段というのが正しいでしょう。このため、輸出規格を満たしたコーヒー豆はそれ以上エイジングしても、おいしさが増すことは期待できないでしょう。