カフェインは本当に「体に悪い」物質なのでしょうか?
一部例外的に効かないという人もいるようですが、多くの人に対してはコーヒーのカフェインは眠気覚ましに効果があります。これは、脳内に蓄積されると眠くなる「睡眠物質」アデノシンをカフェインが分解するからです。
アデノシンは、筋肉を動かすエネルギー源であるアデノシン三リン酸が活用された後にできる物質で、睡眠を促すことで人間に休養を要求しています。
自然食等の極端な信奉者の中には、カフェインが体に悪い物として極端に排除しようとする人もいますが、本当に体に悪いのでしょうか?アメリカの健康雑誌『ヘルス』が掲載した論文によると、カフェインは血行改善・運動時や後の筋肉の痛みの緩和・筋肉の強化・記憶力アップ・脂肪燃焼などの効果があるとされています。
古い研究でもコーヒーが体に悪いということは否定されています。1924年、マサチューセッツ工科大学の科学者、サミュエル・ケート・プレスコットはコーヒーの研究を行い、その結果から得た広範で客観的なデータにより、コーヒーは正しい用量を守るならば人間に安らぎやひらめきを与えるとともに、心身を活発にするとして、コーヒーは有害な文明の破壊者どころか、奉仕者といえると主張しています。
1997年、アメリカ海軍は特殊部隊「シールズ」の隊員を対象に調査を行い、カフェインはストレスの強い戦場でリラックス効果を発揮するらしいことを発見しました。
また、2007年には学術誌『ニュートリションジャーナル』がカフェインを含む飲み物(コーヒーに限らずお茶等も)は注意力や記憶力を高めるという論文を掲載しています。
確かにカフェイン中毒というものもありますが、中毒にならないような常識的な摂取量であればそれほど目くじら立てて排除するような物質とまでは言えないのではないでしょうか?
さらに、コーヒーは芸術家も愛飲していました。『毎日の儀式』でベートーベンやフランスの作家マルセル・プルースト、カナダのピアニスト、グレン・グールドらも創造性を高めるためにコーヒーを常飲していた。と、書いた本の著者、メーソン・カリーは、コーヒーにはアイディアを湧かせる力があると述べています。
最近は昼寝の効用が見直されてきて、昼食後の10分~20分の短い昼寝が午後の作業効率を高めるとして取り入れている企業もあるようです。その昼寝の前にコーヒーを飲むとさらに効果が上がるという研究もあります。
「寝るのにコーヒー?」と思われた方もいるかもしれませんが、実はカフェインが上記のようにアデノシンを分解し始めるのは体の中に吸収されてから20分ほど経ってから。つまり、コーヒーを飲んで20分ほど昼寝をすると、目覚めたころにアデノシンの分解が始まるので、睡眠とカフェイン双方の効果によって頭がすっきりするということなのです。
朝寝不足でも、コーヒーを飲んでから昼寝すると午後には頭がはっきりするとのことなので、寝不足でぼーっとするという日には試してみては?