コーヒーのかぐわしい香りをつくるのは火の洗礼

コーヒーには味と香りといった大きな2つの魅力があります。特に「新鮮」なコーヒーをドリップしたときなど、思わず「良い匂い」と言わずにはいられない魅力が香りにはあります。

コーヒーの生豆には多くの香気成分が含まれています。その数200種類ほどと言われており、焙煎されることによってその数がさらに増えます。報告されているものだけでも700種類。その成分は味に関係するものと比べていずれも微量ですが、影響としては小さくありません。

焙煎後にはかぐわしい香りとなるコーヒーですが、生豆の状態ではそれほど良い香りではありません。焙煎時に起きる豆の変化の一つがメイラード反応。このメイラード反応によって独特な色や香りが生まれます。

メイラード反応がもたらす独特な香りの例として、味噌やしょうゆ、あるいは焼いた肉やパンが挙げられます。コーヒーの香りもそのうちの一つです。

コーヒーにはいろいろなアミノ酸が含まれています。その組成は原料となる豆の種(しゅ)や栽培条件、精選時の加工方法などによって変わってきます。アミノ酸の組成や加熱条件によって、どのような香りがどの程度つくられるかが決まります。

したがって選ぶ生豆によって香りは変わってきますし、同じ豆を使っても加熱の仕方や焙煎具合で香りは違うものになります。

焙煎時に起きる別の反応がカラメル化です。カラメル化とは、コーヒーに含まれる少糖類が焙煎されることで起きる現象です。カラメル化が起きると揮発性の酸の香りや甘い香りが漂います。

その他の物質が加熱されることによっても香りはつくられます。あのかぐわしい香りは複雑な化学反応の結果と言えるでしょう。焙煎によって生じた香気成分はまた、焙煎度によって変化します。

変化のタイプには大きく分けて3種類あります。あまり変化しない、ある程度まで増えた後減少する、焙煎するほど増える、の3つです。このうちの2番目、ある程度まで増えたあと減少するタイプの香りに、私たちが心地よいと感じる成分が多く含まれています。

3つのタイプの香気成分の総量や割合は焙煎度によって変化します。焙煎度によって香りの質や強さが変化するのはこのためです。

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